ボイス系音源の決定版Output EXHALEの音付き徹底レビュー
Chillout with Beats の管理人 yosi です。
革新的な音源を発売し続けるOutputのボイス系音源EXHALEのレビューです。
自分で言うのもなんですが、多分日本で1番しっかり詳しく書ています。
既に発売から5年という月日が経っているにも関わらず、全く色あせていません。
今回詳しく調べましたが、本当に良く出来ていて、殆どセールをしないのも頷けます。
私自身今回のセールでEXHALEのExpansion Packを購入した程です。
結論から言いますとOutput EXHALEはこんな方におすすめです。
・ボイスネタのキーが合わなくてイライラした事がある方
・ボイスネタ探すのに時間が掛かる方
・Future Bassの様なジャンルの曲を作る方
・自分でボイスネタをエディットしたくなる方
あと重要なので書いておきますが、KontaktFull版は不要です。
(Kontakt Free Playerで動作します)
・Output EXHALEの3種類のエンジンを詳しく音付きで解説します。
・プリセットのバリエーションを実際に音付き動画でご紹介します。
・Output EXHALEのFXエンジンを音付きで解説します。
・CPUとメモリの負荷をFLStudioのPerformanceモニターで計測します。
Output EXHALEの概要
以下はオフィシャルのデモ動画ですが、ほんとカッコいいです。
Output社の音源にしてもデモ動画にしてもセンスが良過ぎですね。
EXHALEの開発
・ボーカルサンプルは実際の歌手とトッププロデューサーによって録音
・25人のサウンドデザイナーが6ヶ月間、完璧なサウンドを目指し調整。
・アナログ、ヴィンテージギア、テープマシン、ボコーダなどで作られた音。
・モジュレーション、テンポシンクされたFX、ピッチシフトなど、一から構築されたエンジン。
・音楽性に徹底的なこだわり
主な機能
・パワフルなエンジンには3つの異なるモード搭載(ノーツ、ループ、スライス)
・500以上のプリセット
・7.8GB(非圧縮時10GB)ものサンプル
・カスタムFXプリセット
・プリセットごとのカスタムマクロ
・Maschineのスナップショット
・編集可能なマクロノブ
・オートメーション可能なインサートエフェクト
Output EXHALEの3種類のエンジン
Output EXHALEには3種類のエンジンが搭載されています。
それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
・(2)LOOPSエンジン(プリセット125)
・(3)SLICESエンジン(プリセット125)
3つのエンジンに共通ですが、プリセットがタグ付けされていて、プリセット数が合計で500あっても目的の音が探しやすいです。
(1)NOTESエンジン
NOTESエンジンはOutpput製品ので良くある2つのソースをミックスして鳴らします。
主にPad系やアクセントをつけるのに向いています。
動画を撮ってみました。後半はソースのみの音が聴けます。
プリセットはしっかり250あります。
そしてNOTESのソースは以下の3つのカテゴリがあります。
・PADSカテゴリ(20種類)
・TAPEカテゴリ(40種類)
これFX無しで聴いてもしっかり作られていて魅力的なんです。
各カテゴリから適当に動画撮りましたので聴いてみて下さい。
FX全てバイパスして音量が下がっているので、Kontakt上で音量だけ上げています。
各カテゴリで設定出来るパラメータが変わります。
(単純にWavが違うというレベルでは無く、処理の仕方が異なる)
ソースのアイコンの意味です。
One Shotのカテゴリ(20種類)
One Shotは名前の通り、短いサンプルです。
ループせずにサウンドをトリガーします。
One Shotのカテゴリのソース一覧
赤枠の部分が実際に発する言葉です。
以下の場合は女性の暖かい感じで「EYE」という言葉のワンショットが鳴ります。
こんな感じです。(エフェクトはOFF)
上の動画の様に選択しているソースしか黄色にならず、見辛いので合成しました。(頑張ったー)
一応念の為に記載しますが、複数のソースを同時に有効にする事は出来ません。
上記画面は見易い様に合成しています。
One Shotのカテゴリで変更出来るパラメータ
One Shotのカテゴリを選択時に変更出来るパラメータです。
②波形の開始位置
③ボリューム、パン、ピッチ(共通)
④EQ(共通)
⑤ADSR(共通)
PADSのカテゴリ(20種類)
PADSはよくあるヴォイス系のPadサウンドです。
長めに鳴らした動画を用意しました。
綺麗にLoopが設定されているので、長いPadサウンドでも切れませんし、継ぎ目が気になりません。
PADSのカテゴリのソース一覧
適当に鳴らしてみました。(エフェクトはOFF)
上の動画の様に選択しているソースしか黄色にならず、見辛いのでこちらも合成しました。(頑張ったー)
一応念の為に記載しますが、複数のソースを同時に有効にする事は出来ません。
上記画面は見易い様に合成しています。
PADのカテゴリで変更出来るパラメータ
One Shotと全く同じです。
②波形の開始位置
③ボリューム、パン、ピッチ(共通)
④EQ(共通)
⑤ADSR(共通)
TAPEのカテゴリ(40種類)
TAPEは少し特殊でテープに録音されたような質感の音とテンポに同期してリピート再生させる事が出来ます。
TAPEのカテゴリのソース一覧
適当に鳴らしてみました。
少し加工された感じの音がメインです。(エフェクトはOFF)
TAPEのカテゴリで変更出来るパラメータ
TAPEのカテゴリを選択時変更出来るパラメータです。
中身よく見たら逆再生は逆再生用のサンプルが用意してありました。
②長さ
③波形の開始位置、ループポジション
④ボリューム、パン、ピッチ(共通)
⑤EQ(共通)
⑥ADSR(共通)
パラメーターを変更した様子を動画にしました。
これで片方のソースのみで、ソース自体の変更はせずにFxも未設定です。
音作りの幅が広すぎですね。
(2)LOOPSエンジン
LOOPSエンジンは13の鍵盤※に種類の異なるボーカル系Loopが割り当てられています。
※C2-C3の鍵盤に割当
ワンショットでは無くループとして成立するよう作られています。
プリセットだけでも125あり、13の鍵盤にループが割り当てられていますので、実質1625ものループにもなります。(ただし同じループを別の加工しているパターンはある)
以下の動画ではたった3つのプリセットを軽く鳴らしているだけですが、センスの良さが窺えます。
LOOPSエンジンのソース(40種)
LOOPSエンジンのソースは40種で1つのソース内には13種類が鍵盤に割り当てられているので、520ものLoopが存在します。
軽く鳴らしてみました。
エフェクトはOFFです。
LOOPSエンジンで変更出来るパラメータ
・「ループ」表記は「Loops」の中の1つ1つを指しています。
②「Loops」全体のフォルマントの調整
③「Loops」全体の再生速度
④「Loops」全体に対する処理
⑤「Loops」全体のEQ
⑥「Loops」全体のADSR
⑦「Loops」全体のベロシティ感度とモノとポリ切り替え
⑧「ループ」のキー設定(マイナーメジャー)
⑨「ループ」のボリューム
⑩「ループ」の再生開始位置
⑪「ループ」の半音単位のピッチ調整
⑫「ループ」のパン
⑬「ループ」の逆再生
⑭「ループ」のループ再生のONとOFF切り替え
(3)SLICESエンジン
SLICESエンジンは13の鍵盤※に同じ系統のボーカルワンショットが割当てられています。
※C2-C3の鍵盤に割当
LOOPエンジンと似ていますが、同じ系統のボーカルでワンショットと言う所が異なります。
プリセットだけでも125あり、FutureBass等で使えそうなサンプル多数です。
以下の動画ではランダムで鳴らしてソースを変更しているだけですが、これだけでも使える感じがします。
SLICESエンジンのソース(40種)
SLICESのソースは40種で1つのソース内には13種類が鍵盤に割り当てられているので、520ものLoopが存在します。
軽く鳴らしてみました。
エフェクトはOFFです。
SLICESエンジンで変更出来るパラメータ
LOOPSエンジンで変更出来るパラメータと同じです。
・「スライス」表記は「Slices」の中の1つ1つを指しています。
②「Slices」全体のフォルマントの調整
③「Slices」全体の再生速度
④「Slices」全体に対する処理
⑤「Slices」全体のEQ
⑥「Slices」全体のADSR
⑦「Slices」全体のベロシティ感度とモノとポリ切り替え
⑧「スライス」のキー設定(マイナーメジャー)
⑨「スライス」のボリューム
⑩「スライス」の再生開始位置
⑪「スライス」の半音単位のピッチ調整
⑫「スライス」のパン
⑬「スライス」の逆再生
⑭「スライス」のループ再生のONとOFF切り替え
Output EXHALEのFXエンジン
FXエンジン概要
各エンジンに収録されたボイスネタだけでも素晴らしいのですが、FXエンジンで音がガラリと変える事が出来ます。
Kontakt音源のエフェクトはKontakt内蔵ですから殆ど差はありませんが、モジュレーションとの兼ね合いで効果が全然変わります。
FXエンジンは大きく分けると2つに分類されます。
・エフェクトを設定するEffectsセクション
モジュレーションを設定するRhythmセクション
モジュレーションの自由度の高さはOutpput製品の特長とも言えます。
EXHALEも例外ではありません。
Rhythmセクションは「Rhythm」と「Flux」の2つのパートで構成されています。
Rhythm
要はLFOで「Mod Effects」に対してモジュレート出来ます。
波形はプリセットを選ぶタイプの「WAVE」とカスタマイズ可能な「STEP」の2種類から選べます。
スピードも「RATE」によって最大で8Barから1/64Tまで自由に変更出来ます。
幾つか選んでエフェクトをモジュレートしてみました。
WAVE
「WAVE」で選べる波形は3カテゴリに15種ずつ合計で45種類もあります。
「Phase Lock」を無効にすると波形のフェイズを変更する事が出来ます。
STEP
「Step」で選べる波形2カテゴリに15種ずつ合計で30種類もあります。
ステップ数を2,4,8,16から選ぶ事が出来ます。
Flux
この「Flux」は「Rhythm」の「RATE」に対してだけ掛かるモジュレーションです。
モジュレーション量をステップで変更出来ます。
ステップ数は2,4,8,16から選択出来、モジュレーション量を書く事が出来ます。
ランダムでの生成も可能。
「Rhythm」の「RATE」に対して掛かるモジュレーションの様子を撮りました。
これはかなり魅力的です。
エフェクトを設定するEffectsセクション
Effectsセクションは「Mod Effects」と「Insert Effects 」2つパートに分かれています。
「Mod Effects」と「Insert Effects 」の違いは「Rhythm」のモジュレーションを掛ける事が出来るか否かです。
Mod Effects
Mod Effectsは「Rhythm」によってモジュレーションを掛ける事が出来ます。
全部で6種類のエフェクトを搭載しています。
Kontakt内蔵エフェクトですが、Outpput社は工夫されています。
VOLUME
単純にボリュームなので、モジュレーションで揺らすか、音量のバランスを調整出来ます。
「Volume」のみ(他のEffectsはOFF)で動画を撮りました。
「Flux」がやはりかなりいい仕事します。
PAN
ステレオフィールドに音を配置します。
パンもボリューム同様にモジュレーションで揺らすか、左右のバランスを調整出来ます。
「PAN」のみ(他のEffectsはOFF)で動画を撮りました。
こちらも「Flux」かなりいい仕事します。
FILTER
明るさをコントロールします。2種類のハイパスから選択
とローパスフィルタをドロップダウンメニューでクリックしてください。
フィルターは種類やパラメータや多いので、得られる効果も幅広いです。
「FILTER」のみ(他のEffectsはOFF)で動画を撮りました。
前半はADSRのみで途中から「RHYTHM」によるモジュレーションを有効にしています。
PHASER
デュアルノッチのフィルタリング効果。
フェイザーはそのままだとフェイズがシフトした状態のままで、モジュレーションを掛けると普通のフェイザーのようになります。
「PHASER」のみ(他のEffectsはOFF)で動画を撮りました。
最初はADSR、モジュレーションをOFFで途中からONにしました。
TALK
フォルマントフィルタリング効果。音源の知覚される音響共鳴を変える。母音のモーフィング(’Ooh’を’Eee’にするなど)に使用します。
要はフォルマントフィルターなのですが、ADSRと「RHYTHM」によるモジュレーションでバリエーションが豊かになります。
「TALK」のみ(他のEffectsはOFF)で動画を撮りました。
最初はADSR、モジュレーションをOFFで途中からONにしました。
SATURATE
磁気テープレコーダーが提供するソフトな圧縮と歪みをシミュレートします。
サチュレーションなので、薄っすらかけると音が立ちますし、強く掛けると歪んで違う質感を得る事が出来ます。
「SATURATE」のみ(他のEffectsはOFF)で動画を撮りました。
最初はADSR、モジュレーションをOFFで途中からONにしました。
Insert Effects
「Insert Effects」はモジュレーションが掛からない単純なエフェクトです。
Kontakt内蔵エフェクトの為、詳細は一部を除き割愛します。
Pitch
アマウントノブで設定した半音数に応じて、エクスハレの全体の音程を 上にシフトさせます。専用のエンベロープ・ジェネレーターを使って、ピッチシフト・エフェクトの立ち上がりの形状を調整します。フラッター」は、専用のLFOを使ってピッチをわずかに反らせます。
フラッターを使ってLo-Fi感をだしたり、ピッチシフトで立ち上がりの変化を付ける事が出来ます。
「Pitch」のみ(他のEffectsはOFF)で動画を撮りました。
Dirt
3種類のディストーションエフェクトを収録。スクリーマー、キャビネット、ローファイ。
Motion
サウンドの動きをシミュレートする時間ベースのエフェクトのコレクション。コーラス、フランジャー、ローテーター。
Compression
入力レベルのしきい値に基づいて、全体の出力レベルを動的に調整します。
Tone
3バンドEQ、ハイパスフィルター、ローパスフィルターで構成されたカラーリングユニット
Delays
テンポに同期した2台のエコーユニット。
Reverb
コンボリューションベースのリバーブユニット。アコースティックトリガーに基づいたアルゴリズムを使用して、「現実の」リバーブ信号を近似させます。16種類以上のクリエイティブなコンボリューション・アルゴリズムとリアルなコンボリューション・アルゴリズムから選択できます。リアル」アルゴリズムでは、ルーム、ホール、プレート、ギターアンプなど、より一般的なリバーブサウンドが得られます。クリエイティブ」アルゴリズムは、リバーブ信号に、よりダイナミックな周波数特性と空間特性を提供するように設計されています。
選べるIRは以下の通りです。
Macroコントロール
Outputの特長とも言えるMacroコントロールがEXHALEにも4つ搭載されています。
このスライダーには最大6つのパラメータを範囲を指定してアサイン可能です。
EXHALEには4つのマクロスライダーがあり、1つのスライダーで最大6つのパラメーターをコントロールすることができます。つまり、一度に24個のパラメータを変更することができます。
EXHALE の各プリセットには、4 つのマクロにマッピングされたパラメータがあります。メニューパネルの右上にある ‘Macros’ ボタンをクリックすると、エクサハレのマクロを編集することができます。マクロ編集モードでは、全体のトップメニューパネルの変更は、マクロ編集セレクターの番号 1-4 をクリックして編集したいマクロを選択することができます。
実際にマクロコントロールに割り当てるとこのような事が簡単に出来てしまいます。
CPU負荷をFLStudioのPerformanceモニターで計測
各エンジンのCPUとメモリ負荷をFLStudioのPerformanceモニターで計測しました。
全体的にCPU負荷は高めですが、ボイスネタという事を考えるとバウンスやFLStudioならDirectWaveを使えば回避可能と言えます。
VSTをDirectWaveに変換する方法はこちらの記事を参考にして下さい。
CPUはCore i7-4770K 3.5GHz 24GBメモリでの計測です。
上の猫の画像は趣味です。
NOTESエンジン
まずは「Notes」エンジンのプリセット「001. Ancient Idols」での計測です。
4音同時発音時のCPU計測です。
CPUは17%程度の使用量です。
メモリは大体1.1GB程度使用です(起動直後が170M程度なので、実質約900MB)
一応メモリ使用量多めのプリセットを選び計測してみました。
「034. Windsong」での計測です。
CPUは14%程度の使用量です。
メモリは大体1.3GB程度使用です(起動直後が170M程度なので、実質約1.1GB)
Performanceモニターを表示して適当にプリセットを変える動画を撮りました。
見て頂くと判るのですが、かなりプリセットによってCPU負荷が変わります。
(高いものはピークで35%程度で低いものはピークでも10%)
LOOPSエンジン
プリセットは「001. Bangers」を使いました。
4音同時再生時の計測です。
約16%位とNOTESエンジンとあまり変わりません。
メモリは大体1.1GB程度使用です(起動直後が170M程度なので、実質約900MB)
こちらもPerformanceモニターを表示して適当にプリセットを変える動画を撮りました。
やはりプリセット次第と言う感じすが、NOTESより少し負荷が高い印象です。
見て頂くと判るのですが、かなりプリセットによってCPU負荷が変わります。
(高いものはピークで40%程度で低いものはピークでも20%)
SLICESエンジン
プリセットは「001. Solemn Oh」を使いました。
約12%位と他のエンジンに比べてやや軽めです。
メモリは大体1.1GB程度使用です(起動直後が170M程度なので、実質約900MB)
SLICESエンジンの場合、あまり同時発音しないかと思うので、単音でプリセットを切り替えました。(短めのサンプルであり、単音利用が実用的)
ボイス系音源の決定版Output EXHALEの音付き徹底レビューまとめ
今回隅々までしっかり確認しましたが、本当にしっかり作り込まれています。
そしてプレイバックでも十分素晴らしいのですが、エディットしてこそ真価が発揮される製品と言えます。
Output EXHALEはこんな方におすすめです。
・ボイスネタのキーが合わなくてイライラした事がある方
・ボイスネタ探すのに時間が掛かる方
・Future Bassの様なジャンルの曲を作る方
・自分でボイスネタをエディットしたくなる方
注意すべき点は以下です。
・自分でサンプルの追加は出来ない
・ボーカルのステムではない
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